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注目を浴びた骨付き膝蓋腱

 前十字靭帯損傷<3> 手術の方法
 前十字靱帯(じんたい=ACL)はひざの中央にある靭帯でもう1本の後十字靭帯とクロスしています。これが断裂するとスネの骨が前方に回旋しながらズレてしまい、スポーツ活動に支障をきたします。手術が積極的に行われるようになったのは80年代で、80年代後半から90年代初頭にかけてさまざまな手術法が開発、試みられてきました。

 これまでの手術方法の変遷を簡単に述べると、切れた靭帯を寄せ集めて縫合しても癒合しないことがわかり、腱(けん)や半月板などの他の組織で置き換える再建手術が行われるようになりました。一時は人工靭帯が使われて早期のスポーツ復帰がかなうと話題になったのですが、中期成績は惨憺たるもので現在は単独では使われなくなりました。
 そこで注目を浴びたのが骨付き膝蓋腱(BTB)です。大腿(だいたい)骨と脛骨(けいこつ)にトンネルを開けて骨付き膝蓋腱をスクリューで固定するという画期的な方法で、術後早期からの積極的リハビリが可能となりました。このスクリューを開発したのが神戸大学の黒坂昌弘教授で、Gold standardとして世界に広く受け入れられました。
 ただ、移植腱の採取や固定が難しく、術者の習熟度によって結果が左右される問題がありました。簡便で結果の安定した低侵襲(しんしゅう)手術が求められ、大腿裏面の屈筋腱(STG)を使った方法へと流れが変わりました。この固定にはアメリカのローゼンバーグ氏が開発したエンドボタンが使われるようになりました。
 前十字靭帯は前内側と後外側の2つの繊維束に分けることができます。近年ではこの2本の繊維束を再建するほうが本来の解剖学的構造に近いというコンセプトから二重束再建が行われるようになりました。これは北大の安田和則教授を初めとする日本の先生の研究・研鑽によるものです。さらに関節鏡や周辺機器の開発により細かな精度の高い操作が可能となり、部分損傷に対しても一方の線維束だけを再建することが可能となりました。


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